モノローグ2:二人は雨やどり
雨は不思議だ
直接目にしなくても
雨が降っていることが分かる
傘立てに並んだ濡れた傘や
湿り気を帯びた服
あとは、上司の関節痛
もし僕らが直接目にしないと
物事を何も理解できない生物なら
世界はもっと黒く、汚かっただろう
だからといって
何でも見ずに分かるわけじゃない
それは例えば
世界の真理だったり
宇宙人の存在だったり
彼女のこころだったりする
分かる人には分かるのかも
だけど、僕は鈍感だから
会社を出ると
道には色とりどりの傘が行進していた
青や赤、あとは透明
その下の顔はうかがいしれないけれど
経験上、大半は暗い
嫌なことがあろうとも
日常を過ごさなければならないという
もはや強迫観念に似たものに
皆突き動かされている
僕はその行進の中に紛れた
これで僕も強迫観念信者の仲間入りだ
前にも迷惑をかけず
かと言って
後ろにも嫌な思いをさせないように
歩くのは
傘があると難しい
と、白地にオレンジの水玉が目に入った
あれはきっと……
彼女の名前を呼ぶ
その傘を持つ人は少し間をおいて振り返る
不満半分、嬉しさ半分といった顔
僕は彼女との日々を
日常にしていたのだと気がついた
強迫的に続けていただけ
意味なんて考えなくなっていた
だけど、このまま傘をさして
駅へ向かって電車に乗って
それでいいのだろうか
雨は僕らの行動を制限する
なら、ちゃんと制限されるべきかもしれない
制限は非日常で
日常の価値を示してくれる
雨の日には雨やどりしないと
今回のことも僕と彼女の雨やどり、だったのかもしれない
僕は足を止めて
彼女を喫茶店に誘った
直接目にしなくても
雨が降っていることが分かる
傘立てに並んだ濡れた傘や
湿り気を帯びた服
あとは、上司の関節痛
もし僕らが直接目にしないと
物事を何も理解できない生物なら
世界はもっと黒く、汚かっただろう
だからといって
何でも見ずに分かるわけじゃない
それは例えば
世界の真理だったり
宇宙人の存在だったり
彼女のこころだったりする
分かる人には分かるのかも
だけど、僕は鈍感だから
会社を出ると
道には色とりどりの傘が行進していた
青や赤、あとは透明
その下の顔はうかがいしれないけれど
経験上、大半は暗い
嫌なことがあろうとも
日常を過ごさなければならないという
もはや強迫観念に似たものに
皆突き動かされている
僕はその行進の中に紛れた
これで僕も強迫観念信者の仲間入りだ
前にも迷惑をかけず
かと言って
後ろにも嫌な思いをさせないように
歩くのは
傘があると難しい
と、白地にオレンジの水玉が目に入った
あれはきっと……
彼女の名前を呼ぶ
その傘を持つ人は少し間をおいて振り返る
不満半分、嬉しさ半分といった顔
僕は彼女との日々を
日常にしていたのだと気がついた
強迫的に続けていただけ
意味なんて考えなくなっていた
だけど、このまま傘をさして
駅へ向かって電車に乗って
それでいいのだろうか
雨は僕らの行動を制限する
なら、ちゃんと制限されるべきかもしれない
制限は非日常で
日常の価値を示してくれる
雨の日には雨やどりしないと
今回のことも僕と彼女の雨やどり、だったのかもしれない
僕は足を止めて
彼女を喫茶店に誘った