生産と消費から薄利小売を考える
以前、このサイトで「薄利小売」という考え方を書いたことがあります。簡単に言えば、利益は薄くたくさん売れないものでも、そういうものを複数合わせれば合計でそれなりのお金などになるのでは? という話です。(気になる方は提案編第1回へどうぞ)
今回はそれを同じ商品内でも考えてみようというお話です。
今回はそれを同じ商品内でも考えてみようというお話です。
1.第三の波で語られた未来の経済
アルビン・トフラーという方が書いた「第三の波」という本をご存知でしょうか。1980年に出された本で現在の社会には第一の波である農業革命(世界史用語とは異なり、農業の開始ぐらいな感じです)、第二の波である産業革命の次の第三の波が押し寄せてきているというような内容が書いてある本です。
予言書ではありませんので、もちろん予想とは違う部分もあり、逆に予想だにしていなかったことが実現していたりします(ソ連の崩壊など)。
しかし、大きな流れとしてはあらかた本の内容通りに進んできているのではないかと考えます。それは通信の発達による情報化が進み、拡大化・効率化(分業化)・画一化とは逆の方向に社会が進みつつあるということです。昨日(2016/6/24)イギリスがEUからの離脱を国民投票で選択しましたが、これはこういう流れの一端ではないかと感じています。
で、このトフラーが説いた第三の波の社会では、経済が第二の波の社会とは変わると書かれています。それは生産消費者の(再)出現です。この生産消費者とはいったい何でしょうか。
アルビン・トフラーという方が書いた「第三の波」という本をご存知でしょうか。1980年に出された本で現在の社会には第一の波である農業革命(世界史用語とは異なり、農業の開始ぐらいな感じです)、第二の波である産業革命の次の第三の波が押し寄せてきているというような内容が書いてある本です。
予言書ではありませんので、もちろん予想とは違う部分もあり、逆に予想だにしていなかったことが実現していたりします(ソ連の崩壊など)。
しかし、大きな流れとしてはあらかた本の内容通りに進んできているのではないかと考えます。それは通信の発達による情報化が進み、拡大化・効率化(分業化)・画一化とは逆の方向に社会が進みつつあるということです。昨日(2016/6/24)イギリスがEUからの離脱を国民投票で選択しましたが、これはこういう流れの一端ではないかと感じています。
で、このトフラーが説いた第三の波の社会では、経済が第二の波の社会とは変わると書かれています。それは生産消費者の(再)出現です。この生産消費者とはいったい何でしょうか。
2.生産消費者とは
私たちが普通経済と呼ぶものは、市場と貨幣を介した交換経済です。ある商品やサービスがほしいときには、市場に出向いてお金と交換することでその商品やサービスをゲットできるわけですね。
しかし、これは産業革命以降に主流になった経済で、第一の波の時代の主流は自己生産・自己消費でした。農家さんは自分たちの食料確保を目的に食べ物をつくり、余ったものを年貢や市中に出していたわけですね。市場もあるにはありましたが、規模はずっと小さかったはずです。このような自己生産・自己消費をトフラーは経済のA部門と呼んでいます。
これが、第二の波が来るようになってから大きく変化し、交換のために生産して交換を通して消費するという流れが生まれて、「生産者」と「消費者」が大きく分離しました。この交換を通じた経済をB部門と呼びます。
経済のA部門は必ずしも貨幣計算できないものも含まれ、家事や家庭教育がそのようなものに該当しますが、このA部門とB部門は実際のところ相互に強く関連しあっています。ですが、現代社会はB部門ばかりに価値を求めて、A部門を軽視していると彼は言っています。実際にそういう部分はやっぱりありますよね。
今後は、市場を介さないDIY的なかたちで物事を行おうとする人が増えるだろうと彼は予測し、B部門に存在する行為を自分でやるA部門に移していく人、すなわち「生産消費者」が生まれると考えたわけです。つまり、ここにきて再び、「自己消費を目的にした生産」が台頭するとしたのです。
私たちが普通経済と呼ぶものは、市場と貨幣を介した交換経済です。ある商品やサービスがほしいときには、市場に出向いてお金と交換することでその商品やサービスをゲットできるわけですね。
しかし、これは産業革命以降に主流になった経済で、第一の波の時代の主流は自己生産・自己消費でした。農家さんは自分たちの食料確保を目的に食べ物をつくり、余ったものを年貢や市中に出していたわけですね。市場もあるにはありましたが、規模はずっと小さかったはずです。このような自己生産・自己消費をトフラーは経済のA部門と呼んでいます。
これが、第二の波が来るようになってから大きく変化し、交換のために生産して交換を通して消費するという流れが生まれて、「生産者」と「消費者」が大きく分離しました。この交換を通じた経済をB部門と呼びます。
経済のA部門は必ずしも貨幣計算できないものも含まれ、家事や家庭教育がそのようなものに該当しますが、このA部門とB部門は実際のところ相互に強く関連しあっています。ですが、現代社会はB部門ばかりに価値を求めて、A部門を軽視していると彼は言っています。実際にそういう部分はやっぱりありますよね。
今後は、市場を介さないDIY的なかたちで物事を行おうとする人が増えるだろうと彼は予測し、B部門に存在する行為を自分でやるA部門に移していく人、すなわち「生産消費者」が生まれると考えたわけです。つまり、ここにきて再び、「自己消費を目的にした生産」が台頭するとしたのです。
3.実際のところはどうなのさ
実際のところは、そこまで生産消費者が台頭しているわけではありません。やはりまだメジャーと呼ばれるB部門が強さを持っています。しかし、日本に関して言えば、「Youtubeのような動画投稿サイト」、「小説投稿サイト」、「同人誌活動」、「フリマアプリ」、「KDPのようなセルフパブリッシング」など、メジャーの経路に乗せないで消費者にものを届けるかたちが出てきています。規模を拡大するかはともかく、一定の影響力を持つことにはなるでしょう。
トフラーの考えと違うのは、生産消費者に近くても、やはりB部門に参加している人が多いということです。しかし、市場に合わせるよりも自分に合わせるという方向性なのは確かなので、似たようなことだと私は考えています。
ここで、実際どんなふうに変化したのかを簡単に図示してみましたのでご覧ください。
まずは、従来(第二の波時代)のかたちです。
実際のところは、そこまで生産消費者が台頭しているわけではありません。やはりまだメジャーと呼ばれるB部門が強さを持っています。しかし、日本に関して言えば、「Youtubeのような動画投稿サイト」、「小説投稿サイト」、「同人誌活動」、「フリマアプリ」、「KDPのようなセルフパブリッシング」など、メジャーの経路に乗せないで消費者にものを届けるかたちが出てきています。規模を拡大するかはともかく、一定の影響力を持つことにはなるでしょう。
トフラーの考えと違うのは、生産消費者に近くても、やはりB部門に参加している人が多いということです。しかし、市場に合わせるよりも自分に合わせるという方向性なのは確かなので、似たようなことだと私は考えています。
ここで、実際どんなふうに変化したのかを簡単に図示してみましたのでご覧ください。
まずは、従来(第二の波時代)のかたちです。
次に、現在の状況です。音楽などの動画投稿サイトをめぐる問題あたりを念頭の見てもらえるとイメージしやすいかもしれません。
細かいことはともかく、分かってほしいのは矢印がいっぱいあって、市場の状況が多様化しているということです。
多様化しているということは、逆に言えばチャンスが増えているということでもあります。通常の企業は利潤を拡大する必要があるのでメジャー以外には手を出しにくいわけで、個人や少数のセミプロもしくはインディーズと呼ばれる人たちにも十分活躍の機会があるわけです。
多様化しているということは、逆に言えばチャンスが増えているということでもあります。通常の企業は利潤を拡大する必要があるのでメジャー以外には手を出しにくいわけで、個人や少数のセミプロもしくはインディーズと呼ばれる人たちにも十分活躍の機会があるわけです。
4.同じ商品でも消費者に届ける方法は多様
上の図を見れば、消費者に自分の生産物を届ける方法はたくさんあると分かります。小説や漫画を書く(描く)人はつい新人賞などのメジャーにばかり目を向けてしまうきらいがありますが、中間業者を通さずにAmazonのKDPのような開かれた小売市場に商品を並べるという手もありますし、サイトなどを使って直接消費者とコンタクトをとる方法もあります。さらに言えば、二次生産者向けに売るという方法だってあるわけです。
私の考えたモデルが網羅的かは怪しいものの、このモデルでは1つの商品でも4から5通りのルートを使って消費者に商品を届けることが出来るわけです。1ルートあたり1つしか買われなくても、4通りのルートがあれば4つ売れます。4倍です。このように考えると1つの道に固執することはあまり得策ではなく、商品内でも薄利小売を実現できるということが分かるのでは、と思います。
ではでは。
上の図を見れば、消費者に自分の生産物を届ける方法はたくさんあると分かります。小説や漫画を書く(描く)人はつい新人賞などのメジャーにばかり目を向けてしまうきらいがありますが、中間業者を通さずにAmazonのKDPのような開かれた小売市場に商品を並べるという手もありますし、サイトなどを使って直接消費者とコンタクトをとる方法もあります。さらに言えば、二次生産者向けに売るという方法だってあるわけです。
私の考えたモデルが網羅的かは怪しいものの、このモデルでは1つの商品でも4から5通りのルートを使って消費者に商品を届けることが出来るわけです。1ルートあたり1つしか買われなくても、4通りのルートがあれば4つ売れます。4倍です。このように考えると1つの道に固執することはあまり得策ではなく、商品内でも薄利小売を実現できるということが分かるのでは、と思います。
ではでは。