日刊言の葉・Vol.29「正論は嫌われる」(最終回)
自分が正しいと考え、かつ相手も理解できる理論。これが正論です。
しかし、正論はたいていの場合は受け入れられません。というのも、正論というのは純度が高すぎるのです。人間が何かを受け入れるときには少しはノイズが無いと腑に落ちないんですね。
2016年一発目の今回は正論はなかなか受け入れられないよね、というお話です。
しかし、正論はたいていの場合は受け入れられません。というのも、正論というのは純度が高すぎるのです。人間が何かを受け入れるときには少しはノイズが無いと腑に落ちないんですね。
2016年一発目の今回は正論はなかなか受け入れられないよね、というお話です。
正しいことはモチベーションを下げる
(日本ほめる達人協会 公式サイト・「ほめ達!」とは より)
私もどちらかと言えば理屈で考えるタイプの人間なので、つい正論めいたことを考えてしまわけですが、正論を相手に言って受け入れられたことはほぼありません。
先ほども書いたようにこれはノイズが少なすぎるからです。では、なぜノイズが少ないと受け入れられないのか。それは返報性の原理と呼ばれるものでだいたい説明できます。
返報性の原理とは簡単に言えば「何かをしてもらったらお返しをしなきゃ」と思う心理的な働きのことです。「プレゼントをもらってばかりでは申し訳ないから、こちらからも送ろう」、「年賀状をもらったから返さなきゃ」といった心理になる経験は多くの人が持っているでしょう。これが返報性の原理です。
人間も動物ですから、何かをするときには自然な本能的な働きで行動を起こす方が負担が少なくて済みます。心理現象というのは基本的には本能的な部分に属するので、心理現象を基にした行動は負担が少なく、モチベーションを高く持つことが出来るのです。また、心理(気持ち)というのは日によって変動するあいまいでふわふわしたノイズと言えるものです。ですが、これに基づいているほうが人間は自然に納得できるんですね。
では、問題の正論はどうか。正論を言う場合、言われた相手は「自分のことを何も分かっていない」と感じます。この人は自分について何も忖度しないで好き勝手言っていると思ってしまうわけです。そうすると相手が好き勝手言っていることをこちらが受け入れる必要はないと判断します。返報性の原理が逆に働いているのですね。
とはいえ、状況的な問題でそれをやらざるを得ないケースも多いでしょう。納得していなくてもやらなくてはいけないということです。会社なのではよくありそうなお話ですね。こういう場合には理屈で行動を起こすので、人間にとっては不自然で負担が重い行動になります。したがって、必然的にモチベーションが下がるわけです。
これを避けるにはどうしたらいいのか。
今回紹介した言葉の出典である「ほめ達!」の日本ほめる達人協会では、ほめることでモチベーションをアップさせようと提唱しています。ほめられるというのは「自分の価値が認められた」ということなので、基本的には嬉しくなってモチベーションが上がります。
これに加えて返報性の原理を用いて、「ほめながらちょろりと正論を足す」というのがいいのではないでしょうか。ほめの中に正論を薄く混ぜることで、「この人はこういうことが言いたいのをわざわざほめを交えて言ってくれているのだ」と相手に感じさせて、「この人がこんなに気をつかってくれているのだから、自分もやらねば」と思ってもらうことができるでしょう。
(まあ、まれにそういう間を読めない人もいるので、そういう人にはある程度核心的な部分を伝える必要があるとは思いますが)
というわけで、今回は正論はモチベーションを下げ、嫌われる要因をつくってしまうので、相手に配慮することで本当の希望を伝えるという手段を使うといいと思うよというお話でした。
先ほども書いたようにこれはノイズが少なすぎるからです。では、なぜノイズが少ないと受け入れられないのか。それは返報性の原理と呼ばれるものでだいたい説明できます。
返報性の原理とは簡単に言えば「何かをしてもらったらお返しをしなきゃ」と思う心理的な働きのことです。「プレゼントをもらってばかりでは申し訳ないから、こちらからも送ろう」、「年賀状をもらったから返さなきゃ」といった心理になる経験は多くの人が持っているでしょう。これが返報性の原理です。
人間も動物ですから、何かをするときには自然な本能的な働きで行動を起こす方が負担が少なくて済みます。心理現象というのは基本的には本能的な部分に属するので、心理現象を基にした行動は負担が少なく、モチベーションを高く持つことが出来るのです。また、心理(気持ち)というのは日によって変動するあいまいでふわふわしたノイズと言えるものです。ですが、これに基づいているほうが人間は自然に納得できるんですね。
では、問題の正論はどうか。正論を言う場合、言われた相手は「自分のことを何も分かっていない」と感じます。この人は自分について何も忖度しないで好き勝手言っていると思ってしまうわけです。そうすると相手が好き勝手言っていることをこちらが受け入れる必要はないと判断します。返報性の原理が逆に働いているのですね。
とはいえ、状況的な問題でそれをやらざるを得ないケースも多いでしょう。納得していなくてもやらなくてはいけないということです。会社なのではよくありそうなお話ですね。こういう場合には理屈で行動を起こすので、人間にとっては不自然で負担が重い行動になります。したがって、必然的にモチベーションが下がるわけです。
これを避けるにはどうしたらいいのか。
今回紹介した言葉の出典である「ほめ達!」の日本ほめる達人協会では、ほめることでモチベーションをアップさせようと提唱しています。ほめられるというのは「自分の価値が認められた」ということなので、基本的には嬉しくなってモチベーションが上がります。
これに加えて返報性の原理を用いて、「ほめながらちょろりと正論を足す」というのがいいのではないでしょうか。ほめの中に正論を薄く混ぜることで、「この人はこういうことが言いたいのをわざわざほめを交えて言ってくれているのだ」と相手に感じさせて、「この人がこんなに気をつかってくれているのだから、自分もやらねば」と思ってもらうことができるでしょう。
(まあ、まれにそういう間を読めない人もいるので、そういう人にはある程度核心的な部分を伝える必要があるとは思いますが)
というわけで、今回は正論はモチベーションを下げ、嫌われる要因をつくってしまうので、相手に配慮することで本当の希望を伝えるという手段を使うといいと思うよというお話でした。