キミのココロについてボクが知っている二、三の事柄の感想/書評
はじめに、言い訳というか、予防線を。
私はあまり書評が得意ではないというか、技術面は知識不足なところがあります。それと、自分のポリシーとして、基本的には作品から日常に活かせるものを抽出したいということがあります。作品には色々な楽しみ方がありますが、私はまったくそれを意図していない限り、出来るだけ活かそうと思う性格なので、そういうものを書こう!としています。
それを御理解していただいた上で、以下の文章をお読みいただけると幸いです。
私はあまり書評が得意ではないというか、技術面は知識不足なところがあります。それと、自分のポリシーとして、基本的には作品から日常に活かせるものを抽出したいということがあります。作品には色々な楽しみ方がありますが、私はまったくそれを意図していない限り、出来るだけ活かそうと思う性格なので、そういうものを書こう!としています。
それを御理解していただいた上で、以下の文章をお読みいただけると幸いです。
①友達ってなんだ?
この作品は、事件のトリックとかそういうところに本質は無くて、「人間関係の難しさ」を表した作品だと感じました。
私自身は人間関係のトラブルには幸運にもあまりあってきませんでしたが、市原くんよろしく表に出さないだけで、実に色々考えています。まあ、新城くんとは違って人の心が読めないので、思考量が人と違うのかは分かりませんが。
相手が何を考えているかは分からない。その中で私たちは生活していかなければならない。その現実、作中の言葉で言えば、「システム」の中で私たちは半ば無意識に「ルール」に従っています(新城くんはこれを意識的にしている分、辛いのだと思います)。そのルールに乗ってさえいれば安定して過ごすことが出来るのです。でも、欲深いことに人間はルールを遵守することに飽きます。時にルールを破りたくなるものです。例外無きルールは存在しないとはまさに的を射ています。
なので、多くの人はルールを受容し、適応していきます。市原くんのように(ただ彼の場合はもっと過剰に、ですが)。一方で、ルールを破りたくなるときがあります。「中国語の部屋」に入ってしまいたくなるときが。新城くんは図らずもそこに入ることができました。だから、市原くんが唯一の友達なのです。
では、友達とは何なのか。実は私にはよく分かりません。「友達」と呼べる人はいますが、本当に「友達」なのかと言われると怪しかったりします。先程のルールから考えれば、部屋に入れないまでもドアが開いているぐらいが友達かもしれません。ドアの死角で何をしているかまでは分からないですが、閉めている人よりはよっぽどよく分かりますから。そういう意味での友達ってたぶん私いません。まあ、友達と呼べる人とは「その場を楽しく過ごすためのツール」と言えてしまうのかもしれません。うーん、私は嫌な人間ですね(笑)
市原くんは友人以前に、そのツールを獲得する作業すら面倒、いや、獲得してもどうせ消えてしまうという諦めからそこから身を引いています。新城くんは友人を獲得しようともがきつつも、実はちゃんと獲得出来ていないことに気がつき苦しんでいます。でも、実は多くの人が新城くんと同じ状況にあると思います。無論私も。私の場合、苦しむのをやめてしまったのかも。
こう考えれば、友達と本心から言える存在がいる人は稀有である、と言えるでしょう。
私自身は人間関係のトラブルには幸運にもあまりあってきませんでしたが、市原くんよろしく表に出さないだけで、実に色々考えています。まあ、新城くんとは違って人の心が読めないので、思考量が人と違うのかは分かりませんが。
相手が何を考えているかは分からない。その中で私たちは生活していかなければならない。その現実、作中の言葉で言えば、「システム」の中で私たちは半ば無意識に「ルール」に従っています(新城くんはこれを意識的にしている分、辛いのだと思います)。そのルールに乗ってさえいれば安定して過ごすことが出来るのです。でも、欲深いことに人間はルールを遵守することに飽きます。時にルールを破りたくなるものです。例外無きルールは存在しないとはまさに的を射ています。
なので、多くの人はルールを受容し、適応していきます。市原くんのように(ただ彼の場合はもっと過剰に、ですが)。一方で、ルールを破りたくなるときがあります。「中国語の部屋」に入ってしまいたくなるときが。新城くんは図らずもそこに入ることができました。だから、市原くんが唯一の友達なのです。
では、友達とは何なのか。実は私にはよく分かりません。「友達」と呼べる人はいますが、本当に「友達」なのかと言われると怪しかったりします。先程のルールから考えれば、部屋に入れないまでもドアが開いているぐらいが友達かもしれません。ドアの死角で何をしているかまでは分からないですが、閉めている人よりはよっぽどよく分かりますから。そういう意味での友達ってたぶん私いません。まあ、友達と呼べる人とは「その場を楽しく過ごすためのツール」と言えてしまうのかもしれません。うーん、私は嫌な人間ですね(笑)
市原くんは友人以前に、そのツールを獲得する作業すら面倒、いや、獲得してもどうせ消えてしまうという諦めからそこから身を引いています。新城くんは友人を獲得しようともがきつつも、実はちゃんと獲得出来ていないことに気がつき苦しんでいます。でも、実は多くの人が新城くんと同じ状況にあると思います。無論私も。私の場合、苦しむのをやめてしまったのかも。
こう考えれば、友達と本心から言える存在がいる人は稀有である、と言えるでしょう。
②異常の使い方
さて、作中では、同じホットライン特性を持ちながら、新城くんと江藤さんは真逆の道を歩みました。それは、「特殊な」新城くんと「普通の」江藤さんの違いなのかもしれません。もしくは、パートナーの性格か。新城くんは力を他者のために使いたいと願い、江藤さんは自分のために使っていました。ここで、江藤さんはとんでもないと言うのは簡単ですが、多くの人は江藤さんと同じ道を歩むのではないかという気がします(別に殺人をするって意味ではないです)。近すぎる存在は邪魔になりかねません。人間にも縄張りというのがありますから。
とすれば、結局、誰も本質的に悪いわけではないのです(そもそも善悪の基準に絶対は無いですしね)。誰しもが自分のルールに従っていて、作中では「たまたま」事件というかたちに至ってしまったと。
ところで、殺人は悪だという規範が存在しますがこれは何故なのでしょう?
そもそも、私たちの社会は規範を設けなければ正常に機能しません。社会学者は「異常が発生するのが正常だ」と言います。異常が発生しない社会は異常なのです。言い換えると、「正常な社会をつくるには、異常を発生させなければならない」とも言えます。だから、ルールを作り、システムを構築し、正常な社会のために異常を作り出すのです。
でも、異常とは「正常ではないこと」であって必ずしも悪ではありません。その集団では正常なことが犯罪であることもありがちですよね。なので、時に異常でもいいと思うのです。ただし、悪にならない範囲で(社会にヒモ付けされている以上、善悪を超越するのはやめておいた方が賢明です)。例えば、真の意味での友達がいる人は異常かもしれませんが、悪ではないですよね。社会通念としては。
その意味で適当に異常を使えれば、世界は豊かになるでしょう。新城くんはそうなったと思います。逆に江藤さんは過剰に異常行為を使ってしまったと言えます。悪かどうかはともかく、江藤さんにとって利益ばかりでは無かったでしょう。
異常は用法、用量を守って、正しくお使いください。
とすれば、結局、誰も本質的に悪いわけではないのです(そもそも善悪の基準に絶対は無いですしね)。誰しもが自分のルールに従っていて、作中では「たまたま」事件というかたちに至ってしまったと。
ところで、殺人は悪だという規範が存在しますがこれは何故なのでしょう?
そもそも、私たちの社会は規範を設けなければ正常に機能しません。社会学者は「異常が発生するのが正常だ」と言います。異常が発生しない社会は異常なのです。言い換えると、「正常な社会をつくるには、異常を発生させなければならない」とも言えます。だから、ルールを作り、システムを構築し、正常な社会のために異常を作り出すのです。
でも、異常とは「正常ではないこと」であって必ずしも悪ではありません。その集団では正常なことが犯罪であることもありがちですよね。なので、時に異常でもいいと思うのです。ただし、悪にならない範囲で(社会にヒモ付けされている以上、善悪を超越するのはやめておいた方が賢明です)。例えば、真の意味での友達がいる人は異常かもしれませんが、悪ではないですよね。社会通念としては。
その意味で適当に異常を使えれば、世界は豊かになるでしょう。新城くんはそうなったと思います。逆に江藤さんは過剰に異常行為を使ってしまったと言えます。悪かどうかはともかく、江藤さんにとって利益ばかりでは無かったでしょう。
異常は用法、用量を守って、正しくお使いください。
③作品について
作者さんのブログを拝見させていただいたところ、応募先からは一行レスだったそうです(なんと!)。他にも厳しいご意見もあったようです……。アマゾンのレビューは好評価ですね!
私としては、面白かったですが、どんどんページをめくりたくなる感じ(引き付ける力)があったかと言われると、確かにそこまでの力は感じなかったというのがあります。まあ、kindleで読んだものでおそらく一番長かったからというのもあるかもしれません(笑)普段実用書ばっかり読んでるので。
私はあまり批評はできませんし、文章や展開をどうこう言える知識がないので、アバウトな言い方になりますが、作品が「無機質」な感じがしたというのはあります。どこか冷徹な、なんというか、コンクリートやプラスチックのような質感とでも言いましょうか。それが引き付ける力を阻害している要因かもしれません。例えば前半が比較的ゆっくりとレビューされている方がいますが、有機的なものならそこをスラッと読ませることが出来る可能性があります。
ただ、なぜ感じるかはよく分かりません。なんとなくなので、気のせいという可能性も十分あります。そもそも読んでるのが私だし(笑)
1つ原因を考えるならば、「計算」かもしれません。作者の藤崎さんはメフィスト賞を取るという明確な目的があります。目標ではなく目的。なので、賞をとるための「計算」をして作品を書いているのではないかという気がします。もちろん計算は大事なのですが、計算が表に出過ぎると、不思議と読者に分かってしまうところがあると思うのです。そこが私の感じる無機質さにつながっている……の、かな?
うーん、なんというか、キャラクターの人間臭さ(心理的リアリティと言ってもいいかも)が薄い気がするのです。いわゆるキャラが立っているという面(このキャラなら当然こう言うよね、とかこうするよねという感覚)があまり無いのかもしれません。どう立たせるのかは私も分かりません!(無責任で申し訳ないのですが)
バクマンという漫画がありますが、あれの高木みたいなタイプかな?という気もしました。高木は結局、「計算だとばれないように計算してつくる」というよく分からない境地に達していましたが、そういう方向を目指すのが一つのアプローチかもしれません。素人の意見なので的外れな可能性もすごくありますけどね……。
無責任なことをつらつら書いてしまいましたが、全体的には面白かったんですよ!元々学園ミステリー系は好きなので。こういうジャンルが好きな人は読んでみて損はないと思います!
私としては、面白かったですが、どんどんページをめくりたくなる感じ(引き付ける力)があったかと言われると、確かにそこまでの力は感じなかったというのがあります。まあ、kindleで読んだものでおそらく一番長かったからというのもあるかもしれません(笑)普段実用書ばっかり読んでるので。
私はあまり批評はできませんし、文章や展開をどうこう言える知識がないので、アバウトな言い方になりますが、作品が「無機質」な感じがしたというのはあります。どこか冷徹な、なんというか、コンクリートやプラスチックのような質感とでも言いましょうか。それが引き付ける力を阻害している要因かもしれません。例えば前半が比較的ゆっくりとレビューされている方がいますが、有機的なものならそこをスラッと読ませることが出来る可能性があります。
ただ、なぜ感じるかはよく分かりません。なんとなくなので、気のせいという可能性も十分あります。そもそも読んでるのが私だし(笑)
1つ原因を考えるならば、「計算」かもしれません。作者の藤崎さんはメフィスト賞を取るという明確な目的があります。目標ではなく目的。なので、賞をとるための「計算」をして作品を書いているのではないかという気がします。もちろん計算は大事なのですが、計算が表に出過ぎると、不思議と読者に分かってしまうところがあると思うのです。そこが私の感じる無機質さにつながっている……の、かな?
うーん、なんというか、キャラクターの人間臭さ(心理的リアリティと言ってもいいかも)が薄い気がするのです。いわゆるキャラが立っているという面(このキャラなら当然こう言うよね、とかこうするよねという感覚)があまり無いのかもしれません。どう立たせるのかは私も分かりません!(無責任で申し訳ないのですが)
バクマンという漫画がありますが、あれの高木みたいなタイプかな?という気もしました。高木は結局、「計算だとばれないように計算してつくる」というよく分からない境地に達していましたが、そういう方向を目指すのが一つのアプローチかもしれません。素人の意見なので的外れな可能性もすごくありますけどね……。
無責任なことをつらつら書いてしまいましたが、全体的には面白かったんですよ!元々学園ミステリー系は好きなので。こういうジャンルが好きな人は読んでみて損はないと思います!