ウリのウラに価値はあるか?~東京チカラめし失敗の理由~
今回は、牛丼業界を例に「ウリ」はどう伝えるべきなのかを考えてみます。
その例として、東京チカラめしの失敗を取り上げます。私は牛丼屋さんファンというわけではないので詳しくはありませんが、一般人レベルでの認識として書いていきますのでご了承ください。
東京チカラめしは2011年以降急速に店舗数を伸ばして一大勢力となりましたが、あっという間に縮小してしまった牛丼チェーンです。私の地元にもありましたが、その建物は現在ラーメン屋さんです(ここも系列は同じみたいですが)。
東京チカラめしのウリは「焼き牛丼」でした。普通牛丼は煮て調理しますから一見目新しそうですよね。実際最初は順調だったようです。
それがなぜこうなってしまったのか。それはウリの伝え方が適正ではなかったからだと私は考えています。
具体的に見ていきましょう。
牛丼業界は吉野家、すき家、松屋の三強です。基本的なターゲット層は各社サラリーマンのはずです。ただ、それにプラスした部分で個性を出しています。
吉野家
ウリはやはり牛丼ですね。牛丼と聞けばすぐ吉野家が出てくるぐらい王道です。味の良し悪しにはあまり言及したくないのですが、牛丼に関してはやはりおいしいのだと思います。なのでここに来る人は「おいしい牛丼を安く食べたい」という人でしょう。あまりCMもうってませんし、変わり種も少ないですよね。
すき家
ここのウリは変わり種です。毎年季節ごとに新商品を出してますよね。これは要するに牛丼ではあまり勝負せず、バリエーションで勝負しているということです。それは、ターゲットを「家族や学生という集団」に置いているからだと考えられます。ファミレスにどちらかというと近い考え方をしているのではないでしょうか。
松屋
松屋のウリは味噌汁です。無料でついてくるのは嬉しいですが、それだけでなく味噌汁の存在によって「ちゃんとした食事」という感覚を消費者に感じさせているのです。なのでターゲットとしては「ちゃんとした食事を取りたいと思っている人」が考えられます。
ターゲットから、各チェーンが提供したいものを推測すると、以下のような感じになります。
吉野家→おいしさから来る幸福感
すき家→みんなで行ける楽しさ
松 屋→健康志向からくる安心感
牛丼業界は安さ勝負と言われがちですが、それとは別の感情的な付加価値を用意しているのですね。
では、東京チカラめしはどうだったのでしょうか。正直私も行ったことがないもので、何とも言えないのですが、焼き牛丼から別の感情的な価値を感じられるかと言われるとクエスチョンマークが頭に浮かびます。味噌汁を無料で付けていますが、これは松屋の後追いなのであまり効果は無かったでしょう。
珍しさは確かにありますが、それは一回しか使えないカードです。別の記事で言及しましたが、新規狙いはばくち型のビジネスになるのであまり上手くいきません。
このような推察から、「安さ勝負なのだから他がやっていない焼き牛丼を出せばいけるというやや安易な動機で参入したのでは?」という気がします。
他とは違うのはもちろん大事ですが、それはどのような哲学で、消費者に何を与えたいのかが明確でなければ、ファンが定着しないのです。要はタイトル通り、ウリのウラに(感情的な)価値が無ければいけないわけです。
なので焼き牛丼そのものでストップするのではなくて、その先を見るべきだったのでしょう。その点でウリというか、ウリの伝え方を間違えたと言えるではないでしょうか。そして顧客にとっての価値を軽視したがために、店舗急拡大に伴う品質、サービスの低下が発生し、商売の砦である信頼を失ってしまったと考えられます。
というわけで、東京チカラめしの失敗から学ぶべきは「顧客に提供すべき価値をきちんと定義し、そのツールとしてウリの商品をつくらねばならぬ」ということです。
☆☆☆
ちなみにもし私が考えるのなら、商品は変えずに牛丼ではなくて、焼き肉店に照準を合わせます。焼き肉は普通高いイメージがありますが、ここはそれを安く提供してくれるわけですよね。
「牛肉をふんだんに使った焼肉丼がなんと400円! 焼き肉には手が出ないけど、ちょっとリッチな感覚を味わいたい。そんな人にひと時の幸福感を与えられる――」。
そんな感じで販促する……かもしれません。リサーチとかまったくしてない素人の意見ですが(笑)ついでに焼くときも客の前で焼いたらいいかもしれません。どのみち焼くのに時間がかかっているみたいですから、焼けているのが見えた方が焼き肉感が出てよさそうじゃないですか?
今回はなんかだいぶ失礼なこと書いてしまった気がしますが、今回はこの辺で!
その例として、東京チカラめしの失敗を取り上げます。私は牛丼屋さんファンというわけではないので詳しくはありませんが、一般人レベルでの認識として書いていきますのでご了承ください。
東京チカラめしは2011年以降急速に店舗数を伸ばして一大勢力となりましたが、あっという間に縮小してしまった牛丼チェーンです。私の地元にもありましたが、その建物は現在ラーメン屋さんです(ここも系列は同じみたいですが)。
東京チカラめしのウリは「焼き牛丼」でした。普通牛丼は煮て調理しますから一見目新しそうですよね。実際最初は順調だったようです。
それがなぜこうなってしまったのか。それはウリの伝え方が適正ではなかったからだと私は考えています。
具体的に見ていきましょう。
牛丼業界は吉野家、すき家、松屋の三強です。基本的なターゲット層は各社サラリーマンのはずです。ただ、それにプラスした部分で個性を出しています。
吉野家
ウリはやはり牛丼ですね。牛丼と聞けばすぐ吉野家が出てくるぐらい王道です。味の良し悪しにはあまり言及したくないのですが、牛丼に関してはやはりおいしいのだと思います。なのでここに来る人は「おいしい牛丼を安く食べたい」という人でしょう。あまりCMもうってませんし、変わり種も少ないですよね。
すき家
ここのウリは変わり種です。毎年季節ごとに新商品を出してますよね。これは要するに牛丼ではあまり勝負せず、バリエーションで勝負しているということです。それは、ターゲットを「家族や学生という集団」に置いているからだと考えられます。ファミレスにどちらかというと近い考え方をしているのではないでしょうか。
松屋
松屋のウリは味噌汁です。無料でついてくるのは嬉しいですが、それだけでなく味噌汁の存在によって「ちゃんとした食事」という感覚を消費者に感じさせているのです。なのでターゲットとしては「ちゃんとした食事を取りたいと思っている人」が考えられます。
ターゲットから、各チェーンが提供したいものを推測すると、以下のような感じになります。
吉野家→おいしさから来る幸福感
すき家→みんなで行ける楽しさ
松 屋→健康志向からくる安心感
牛丼業界は安さ勝負と言われがちですが、それとは別の感情的な付加価値を用意しているのですね。
では、東京チカラめしはどうだったのでしょうか。正直私も行ったことがないもので、何とも言えないのですが、焼き牛丼から別の感情的な価値を感じられるかと言われるとクエスチョンマークが頭に浮かびます。味噌汁を無料で付けていますが、これは松屋の後追いなのであまり効果は無かったでしょう。
珍しさは確かにありますが、それは一回しか使えないカードです。別の記事で言及しましたが、新規狙いはばくち型のビジネスになるのであまり上手くいきません。
このような推察から、「安さ勝負なのだから他がやっていない焼き牛丼を出せばいけるというやや安易な動機で参入したのでは?」という気がします。
他とは違うのはもちろん大事ですが、それはどのような哲学で、消費者に何を与えたいのかが明確でなければ、ファンが定着しないのです。要はタイトル通り、ウリのウラに(感情的な)価値が無ければいけないわけです。
なので焼き牛丼そのものでストップするのではなくて、その先を見るべきだったのでしょう。その点でウリというか、ウリの伝え方を間違えたと言えるではないでしょうか。そして顧客にとっての価値を軽視したがために、店舗急拡大に伴う品質、サービスの低下が発生し、商売の砦である信頼を失ってしまったと考えられます。
というわけで、東京チカラめしの失敗から学ぶべきは「顧客に提供すべき価値をきちんと定義し、そのツールとしてウリの商品をつくらねばならぬ」ということです。
☆☆☆
ちなみにもし私が考えるのなら、商品は変えずに牛丼ではなくて、焼き肉店に照準を合わせます。焼き肉は普通高いイメージがありますが、ここはそれを安く提供してくれるわけですよね。
「牛肉をふんだんに使った焼肉丼がなんと400円! 焼き肉には手が出ないけど、ちょっとリッチな感覚を味わいたい。そんな人にひと時の幸福感を与えられる――」。
そんな感じで販促する……かもしれません。リサーチとかまったくしてない素人の意見ですが(笑)ついでに焼くときも客の前で焼いたらいいかもしれません。どのみち焼くのに時間がかかっているみたいですから、焼けているのが見えた方が焼き肉感が出てよさそうじゃないですか?
今回はなんかだいぶ失礼なこと書いてしまった気がしますが、今回はこの辺で!