第3シリーズ 「福」業を考えてみませんか?
第1回 私たちはなぜ働いてきたのか?
このシリーズでは私が考えるより良い社会にしていくための一つの方法論である副業、いや福業を考えるための記事を書いてみたいと思っています。
そこで初回のこの記事では、そもそも私たちはなぜ働いてきたのか、働いているのかを考えてみたいと思います。歴史的事実を細かくあたれば色々あらもあるのですが、ざっくりとした流れのまとめを書いてみたので、まずはそれを眺めていきましょう。
そこで初回のこの記事では、そもそも私たちはなぜ働いてきたのか、働いているのかを考えてみたいと思います。歴史的事実を細かくあたれば色々あらもあるのですが、ざっくりとした流れのまとめを書いてみたので、まずはそれを眺めていきましょう。
1.労働の歴史的流れ
①原始的経済
・衣食住確保のための労働=本能的なもの=主体的に働けて、楽しい
→狩猟採集や移動型生活を模したものを楽しいと感じることが多いのはこの名残だと思います。TV番組の鉄腕ダッシュが面白いのもこれですね。
・価値はそのとき必要なものによって変動(=生活に直接資するもの)=多様
・自然から価値を分けてもらうかたち
②分業型へ移行
・環境が変化し移動型生活が困難になったため農耕が始まり、富を蓄積するように。
(今風に言えば貯金)
・常にものがあるわけではないので必要になるであろうものを予測し、それらの余剰をつくろうとする(安定を求める)。
→分業による効率化が始まる
・分業化に伴って価値の交換が始まる(物々交換)
③分業型経済
・複数のことがらを分業して行うことで生産力が向上
・分業が進むと価値の交換が激しくなり、物々交換では不都合が生じる
・貨幣(虚像価値)が登場
→本来価値のないものを価値があると決めることで貨幣は維持されています。
・価値がすべて貨幣で図られるようになり、価値の多様性が失われる
(お金があれば何とかなる)
④組織型経済
・分業が進んで規模が拡大していくと、富をめぐって戦争が起こるようになる
・戦争に勝つため男女のジェンダーが生まれ、家父長制が進む。
・敗者が生まれ、奴隷(的存在)が現れる
・彼ら(奴隷や女性・子供)を使って個人的分業から組織的分業に進展する
(奴隷には権利などの概念は当然発生しない)
⑤問屋型経済
・さらに生産量が増すと、作るものの種類分業から、作る側と売る側という分業が発生し、問屋型に移行する。いわゆる中間団体の発生。今で言うところのマージン(ピンハネ含む)が生まれる。
・主体性は大きく損なわれ、賃金獲得競争に突入していく
・売る側と作る側で賃金格差が生じる。
・この段階では在宅業務がほとんど。
⑥集合型経済
・問屋制では在宅業務が多かったが、流通や通信手段が今に比べると劣っているため売る側としては在宅では手間がかかった。
・そこで、作る側を一か所に集める工場が現れるようになった。
・作る側の人々は労働者と呼ばれるようになった。
・売る側すらも管理するもう一段階上の団体、すなわち企業が生まれるようになる。
⑦企業型経済
・分業して必要な価値を生み出すという本質から外れて、企業が需要を喚起しながら、分業を手段として用いることで資本を獲得し、その資本を任意に労働者に分配するシステムになった。
・分配できない企業は消滅し、労働者に転落するようになった。
・同時に政治の進展で住民の多くを占めるようになった労働者が参政権を持つようになった。
⑧国家型経済
・企業を束ねるかたちで国家が経済に介入するようになった。国家は参政権を持つ労働者におされるかたちで労働者への分配を法的に担保するようになった。
・ますます企業の維持は難しくなり、労働者の生活保障が進むことで、労働者が急増した。
・国家で効率を重視することで生産量はますます増え、分配される量も増え、全体的な生活水準が上がっていく(生活安定度の向上)。同時に、主体性はほぼ失われ、貨幣の獲得量が最大の価値とみなされ、生活水準に達するには安定的に貨幣を獲得する必要が出てきた。
・よって、労働者が多数派となり、標準モデルとなる。
⑨低分配期経済(現在はココ)
・需要が一定程度満たされると供給過多となり、国家の利益が縮小していく。
・すると、分配される量も減っていく。
・利益を維持するためいっそうの効率化がはかられる(ITやロボットの導入)。
・分配額を減らす方向に全体が動く。
・標準モデルが動揺し、生活水準が低下に転じる。主体性なき人々は貨幣以外の価値を知らないために、不安になる。
⑩これからの予想
労働の歴史は、安定を求めるがゆえの効率化の歴史であり、その手法として長らく労働が用いられてきましたが、IT技術の進展でその手法にもかげりがさしつつあります。また、生産があっても売れないという状況になり、モノを基盤にした経済活動そのものの限界が見えつつあります。需要と供給を合わせながら進めていく限り、利益が出る産業と出ない産業に二極化していき、労働者への分配も二極化、トータルで見れば減少していく可能性が高いでしょう。これにより、現行の労働者モデルは否応なく再編を迫られることになると思われます。今の日本で非正規社員が増えているのは、労働者モデルをあくまで維持しようとするがために起こる反応だと私はとらえています。
①原始的経済
・衣食住確保のための労働=本能的なもの=主体的に働けて、楽しい
→狩猟採集や移動型生活を模したものを楽しいと感じることが多いのはこの名残だと思います。TV番組の鉄腕ダッシュが面白いのもこれですね。
・価値はそのとき必要なものによって変動(=生活に直接資するもの)=多様
・自然から価値を分けてもらうかたち
②分業型へ移行
・環境が変化し移動型生活が困難になったため農耕が始まり、富を蓄積するように。
(今風に言えば貯金)
・常にものがあるわけではないので必要になるであろうものを予測し、それらの余剰をつくろうとする(安定を求める)。
→分業による効率化が始まる
・分業化に伴って価値の交換が始まる(物々交換)
③分業型経済
・複数のことがらを分業して行うことで生産力が向上
・分業が進むと価値の交換が激しくなり、物々交換では不都合が生じる
・貨幣(虚像価値)が登場
→本来価値のないものを価値があると決めることで貨幣は維持されています。
・価値がすべて貨幣で図られるようになり、価値の多様性が失われる
(お金があれば何とかなる)
④組織型経済
・分業が進んで規模が拡大していくと、富をめぐって戦争が起こるようになる
・戦争に勝つため男女のジェンダーが生まれ、家父長制が進む。
・敗者が生まれ、奴隷(的存在)が現れる
・彼ら(奴隷や女性・子供)を使って個人的分業から組織的分業に進展する
(奴隷には権利などの概念は当然発生しない)
⑤問屋型経済
・さらに生産量が増すと、作るものの種類分業から、作る側と売る側という分業が発生し、問屋型に移行する。いわゆる中間団体の発生。今で言うところのマージン(ピンハネ含む)が生まれる。
・主体性は大きく損なわれ、賃金獲得競争に突入していく
・売る側と作る側で賃金格差が生じる。
・この段階では在宅業務がほとんど。
⑥集合型経済
・問屋制では在宅業務が多かったが、流通や通信手段が今に比べると劣っているため売る側としては在宅では手間がかかった。
・そこで、作る側を一か所に集める工場が現れるようになった。
・作る側の人々は労働者と呼ばれるようになった。
・売る側すらも管理するもう一段階上の団体、すなわち企業が生まれるようになる。
⑦企業型経済
・分業して必要な価値を生み出すという本質から外れて、企業が需要を喚起しながら、分業を手段として用いることで資本を獲得し、その資本を任意に労働者に分配するシステムになった。
・分配できない企業は消滅し、労働者に転落するようになった。
・同時に政治の進展で住民の多くを占めるようになった労働者が参政権を持つようになった。
⑧国家型経済
・企業を束ねるかたちで国家が経済に介入するようになった。国家は参政権を持つ労働者におされるかたちで労働者への分配を法的に担保するようになった。
・ますます企業の維持は難しくなり、労働者の生活保障が進むことで、労働者が急増した。
・国家で効率を重視することで生産量はますます増え、分配される量も増え、全体的な生活水準が上がっていく(生活安定度の向上)。同時に、主体性はほぼ失われ、貨幣の獲得量が最大の価値とみなされ、生活水準に達するには安定的に貨幣を獲得する必要が出てきた。
・よって、労働者が多数派となり、標準モデルとなる。
⑨低分配期経済(現在はココ)
・需要が一定程度満たされると供給過多となり、国家の利益が縮小していく。
・すると、分配される量も減っていく。
・利益を維持するためいっそうの効率化がはかられる(ITやロボットの導入)。
・分配額を減らす方向に全体が動く。
・標準モデルが動揺し、生活水準が低下に転じる。主体性なき人々は貨幣以外の価値を知らないために、不安になる。
⑩これからの予想
労働の歴史は、安定を求めるがゆえの効率化の歴史であり、その手法として長らく労働が用いられてきましたが、IT技術の進展でその手法にもかげりがさしつつあります。また、生産があっても売れないという状況になり、モノを基盤にした経済活動そのものの限界が見えつつあります。需要と供給を合わせながら進めていく限り、利益が出る産業と出ない産業に二極化していき、労働者への分配も二極化、トータルで見れば減少していく可能性が高いでしょう。これにより、現行の労働者モデルは否応なく再編を迫られることになると思われます。今の日本で非正規社員が増えているのは、労働者モデルをあくまで維持しようとするがために起こる反応だと私はとらえています。
2.問いへの答え
「私たちはなぜ働いてきたのか?」
→前セクションでみたように、私たちは本来生活に資するためのものを獲得するため、主体的に楽しく働いていました。しかし、環境変化で常にモノがある状態では無くなったために効率化し生産量を増やすようになり、以降は効率よく価値を得るための貨幣獲得を目的に働くようになりました。それが進展する中で労働に対する主体性が徐々に失われ、労働者として社会制度に組み入れられることを選択するようになっていきました。
⇒社会制度に組み入れられることで、貨幣と安定を手に入れるため働いている、と言えます。
「私たちはなぜ働いてきたのか?」
→前セクションでみたように、私たちは本来生活に資するためのものを獲得するため、主体的に楽しく働いていました。しかし、環境変化で常にモノがある状態では無くなったために効率化し生産量を増やすようになり、以降は効率よく価値を得るための貨幣獲得を目的に働くようになりました。それが進展する中で労働に対する主体性が徐々に失われ、労働者として社会制度に組み入れられることを選択するようになっていきました。
⇒社会制度に組み入れられることで、貨幣と安定を手に入れるため働いている、と言えます。
3.現代社会の課題
しかし、働く目的が上に書いたようなものであるがために、現代社会は課題を抱え、同じようなことを繰り返しています。具体的には以下のような感じです。
○貨幣(賃金)の額が目減りしていく。
○賃金を安定的に得られる場(正社員)が減っている。
↓
○安定が失われ、生活が不安定化していく
↓
○不安から様々な反応が出てくる
(安定獲得競争、自死、逃避、鬱などなど)
↓
○社会(特に国)は経済無き体制維持を目指し、情緒面をコントロールしようとする。
(いわゆるナショナリズム、愛国運動)
↓
○すると、外交は強硬になり国際社会の不安定化につながっていく
しかし、働く目的が上に書いたようなものであるがために、現代社会は課題を抱え、同じようなことを繰り返しています。具体的には以下のような感じです。
○貨幣(賃金)の額が目減りしていく。
○賃金を安定的に得られる場(正社員)が減っている。
↓
○安定が失われ、生活が不安定化していく
↓
○不安から様々な反応が出てくる
(安定獲得競争、自死、逃避、鬱などなど)
↓
○社会(特に国)は経済無き体制維持を目指し、情緒面をコントロールしようとする。
(いわゆるナショナリズム、愛国運動)
↓
○すると、外交は強硬になり国際社会の不安定化につながっていく
4.一つの仮説(私の持論)
この不安定化のスパイラルから抜け出すためにはどうしたらいいのでしょうか。私は個人で出来る範囲で以下のことを提唱したいと思います。
☆安定のための対策をとり、貨幣価値から離れればよい
→現代社会の課題の大元であり、かつ人類がこのような社会を築く原動力となったのは「不安」です。この不安を出来るだけ低減化することを個人で行っていくと同時に、不安の原因となっている貨幣獲得という「普遍的な」価値を疑い、少し距離をとることが必要なのではないかと私は考えています。
(政治という面では他にも考えることはありますが、このサイトではあくまで個人がどう考えるかを軸にしていきます)
この不安定化のスパイラルから抜け出すためにはどうしたらいいのでしょうか。私は個人で出来る範囲で以下のことを提唱したいと思います。
☆安定のための対策をとり、貨幣価値から離れればよい
→現代社会の課題の大元であり、かつ人類がこのような社会を築く原動力となったのは「不安」です。この不安を出来るだけ低減化することを個人で行っていくと同時に、不安の原因となっている貨幣獲得という「普遍的な」価値を疑い、少し距離をとることが必要なのではないかと私は考えています。
(政治という面では他にも考えることはありますが、このサイトではあくまで個人がどう考えるかを軸にしていきます)
5.まとめと次回以降のお話
労働のかたちは効率化のための大規模化の歴史を持っています。個人→体系的組織→物理的集団→企業→国家というように。効率化は便利な反面、多様性を失わせ、人間が本来持っているはずのしなやかさを奪っていきます。平時には強くても、緊急時に弱いのが効率と大規模化の行く末です。私たちは今この弱さを見ているのではないかと思えてなりません。
今後はこのような社会の中で、今現在私たちが置かれている状況、そしてそれによって生じる負の部分をどうやって緩和していけばいいのかを書いていこうと思います。
ではでは!
労働のかたちは効率化のための大規模化の歴史を持っています。個人→体系的組織→物理的集団→企業→国家というように。効率化は便利な反面、多様性を失わせ、人間が本来持っているはずのしなやかさを奪っていきます。平時には強くても、緊急時に弱いのが効率と大規模化の行く末です。私たちは今この弱さを見ているのではないかと思えてなりません。
今後はこのような社会の中で、今現在私たちが置かれている状況、そしてそれによって生じる負の部分をどうやって緩和していけばいいのかを書いていこうと思います。
ではでは!