料理本で人と土地をつなぐ
2016/6/5の朝日新聞の書評欄で舞台裏というコーナーがありました(たぶん最近新しくできたものです)。この日のこのコーナーは『被災地と家庭をつなぐ料理本』という見出しで雑誌「婦人之友」が宮城は石巻の食材を使った料理本の刊行を予定しているよ、という内容でした。
このような料理本の企画の仕方は上手だなあと思いましたので、今回はどう上手いと思ったのかを書いていきたいと思います。
当該新聞記事はこちらから(会員登録が必要です)→(舞台裏)被災地と家庭をつなぐ料理本
(別に読まなくてもこの記事のうえで支障はないです)
このような料理本の企画の仕方は上手だなあと思いましたので、今回はどう上手いと思ったのかを書いていきたいと思います。
当該新聞記事はこちらから(会員登録が必要です)→(舞台裏)被災地と家庭をつなぐ料理本
(別に読まなくてもこの記事のうえで支障はないです)
1.料理本市場
本屋さんに行けば、たくさん料理本がありますよね。我が家にも3,4冊はあります(大して使ってませんが 笑)。
5分で出来るとかレンジで出来るとか色々な切り口がありますが、おそらくそこまで斬新なものはあまりないのではないかと思います。自分が買うたぐいの本ではないので実際は分かりませんが、市場が拡大している印象はあまりありません。
ましてや最近はクックパッドなどネットでレシピが見られるようになったので需要の低下は待ったなしな感じがします。
一つの考え方としては付録などで付加価値をあげて買ってもらうことがありますが、これも新鮮さはもはやあまりありません。そういう中で「婦人之友」の行った企画はなかなか面白いと思いました。
本屋さんに行けば、たくさん料理本がありますよね。我が家にも3,4冊はあります(大して使ってませんが 笑)。
5分で出来るとかレンジで出来るとか色々な切り口がありますが、おそらくそこまで斬新なものはあまりないのではないかと思います。自分が買うたぐいの本ではないので実際は分かりませんが、市場が拡大している印象はあまりありません。
ましてや最近はクックパッドなどネットでレシピが見られるようになったので需要の低下は待ったなしな感じがします。
一つの考え方としては付録などで付加価値をあげて買ってもらうことがありますが、これも新鮮さはもはやあまりありません。そういう中で「婦人之友」の行った企画はなかなか面白いと思いました。
2.料理の動機
商品を買ってもらうには消費者に動機を持ってもらう必要があります。それには基本的にはストーリーが必要です。
通販などでよく見られるストーリー展開は問題解決型です。「これこれこういうことにあなた困ってますよね」→「実は○○にはそれを解決できる効能があるんです」→「でもそれを実直にやったら大変!」→「しかーし、これを使えば簡単にその効果を受けることが出来るのです」といった具合です。
他にも分類すれば色々あると思うのですが、なかでも社会貢献型は顧客の満足度という点ではかなり高い効果を持つストーリー展開でしょう。「これをすることで、○○の人たちに役に立つ」というかたちに動機を持っていくのです。
この企画の場合、「東北の人たちの支えになりたい」と思っている人をターゲットに、「これを買えばその地域の食材を使った料理を作れるので、間接的に彼らの役に立ちますよ」というストーリーというかメッセージを暗に打ち出しているわけですね。
東北や直近で言えば熊本や大分の人たちのために何かしたいと思っている人は一定数いるはずですが、何が出来るのかがよく分からないという人も多いのではないでしょうか。そういう人のために「こういう風にやれば貢献できますよ」と指し示すのは社会的にも意義がありますし、ビジネス的にも上手なやり方です。
商品を買ってもらうには消費者に動機を持ってもらう必要があります。それには基本的にはストーリーが必要です。
通販などでよく見られるストーリー展開は問題解決型です。「これこれこういうことにあなた困ってますよね」→「実は○○にはそれを解決できる効能があるんです」→「でもそれを実直にやったら大変!」→「しかーし、これを使えば簡単にその効果を受けることが出来るのです」といった具合です。
他にも分類すれば色々あると思うのですが、なかでも社会貢献型は顧客の満足度という点ではかなり高い効果を持つストーリー展開でしょう。「これをすることで、○○の人たちに役に立つ」というかたちに動機を持っていくのです。
この企画の場合、「東北の人たちの支えになりたい」と思っている人をターゲットに、「これを買えばその地域の食材を使った料理を作れるので、間接的に彼らの役に立ちますよ」というストーリーというかメッセージを暗に打ち出しているわけですね。
東北や直近で言えば熊本や大分の人たちのために何かしたいと思っている人は一定数いるはずですが、何が出来るのかがよく分からないという人も多いのではないでしょうか。そういう人のために「こういう風にやれば貢献できますよ」と指し示すのは社会的にも意義がありますし、ビジネス的にも上手なやり方です。
3.社会貢献型のデメリット
しかし、社会貢献型にはデメリットもあります。こういう場合の社会貢献には「助ける側」と「助けられる側」が構造として出現してしまう場合が多く、悲惨なことをビジネス(金儲け)の種にするのかという意見が出やすいからです。
個人的には急に来て、ばーっとそれを使ってお金を儲けて、ひと段落したら去るというようなビジネスであればそういう意見が出ても仕方ないと思っています。しかし、丁寧にしっかりその事象に向き合っており、三方よしになるような動きがあればこの批判はあたらないとも考えます。利他的な行為だからといってお金を絡めてはいけないというわけではないからです。むしろ事業の継続という意味では、お金は絶対に必要です。
「婦人之友」は震災が起きてからずっと十三浜(宮城県石巻)に入って現状を伝えているそうで、ワカメや昆布の申し込みも受け付けるなど地域経済にも程度は分かりませんがプラスになるような活動をしているのではないかという印象を受けます。そのうえで、これを売りだすことで、地元の人には自分たちの食材を買ってもらえるチャンスが広がること・出版社は本が売れてかつブランドイメージが上がること・消費者は料理の知識を学べて社会貢献にもなるというモデルが成り立っているのでいい取り組みなのではないかと思います。
しかし、社会貢献型にはデメリットもあります。こういう場合の社会貢献には「助ける側」と「助けられる側」が構造として出現してしまう場合が多く、悲惨なことをビジネス(金儲け)の種にするのかという意見が出やすいからです。
個人的には急に来て、ばーっとそれを使ってお金を儲けて、ひと段落したら去るというようなビジネスであればそういう意見が出ても仕方ないと思っています。しかし、丁寧にしっかりその事象に向き合っており、三方よしになるような動きがあればこの批判はあたらないとも考えます。利他的な行為だからといってお金を絡めてはいけないというわけではないからです。むしろ事業の継続という意味では、お金は絶対に必要です。
「婦人之友」は震災が起きてからずっと十三浜(宮城県石巻)に入って現状を伝えているそうで、ワカメや昆布の申し込みも受け付けるなど地域経済にも程度は分かりませんがプラスになるような活動をしているのではないかという印象を受けます。そのうえで、これを売りだすことで、地元の人には自分たちの食材を買ってもらえるチャンスが広がること・出版社は本が売れてかつブランドイメージが上がること・消費者は料理の知識を学べて社会貢献にもなるというモデルが成り立っているのでいい取り組みなのではないかと思います。
4.おわりに
というわけで、何かを売ったり、企画する時にはマーケティング的な便益ニーズ以外にも社会貢献型のストーリーを用いた情緒ニーズを考えてみるのもいい方法ではないかと思います。
乱発するのはよくありませんが、向き合う覚悟がしっかりあるのであれば、ぜひ考えてみてください。
というわけで、何かを売ったり、企画する時にはマーケティング的な便益ニーズ以外にも社会貢献型のストーリーを用いた情緒ニーズを考えてみるのもいい方法ではないかと思います。
乱発するのはよくありませんが、向き合う覚悟がしっかりあるのであれば、ぜひ考えてみてください。