アマゾンが年に45万ドルを払ったセルフパブリッシングライターの話(前編)
注)これは西海の翻訳ですが、英語が得意というわけではないので、おかしい表現や誤訳が多々あり、読みにくいかもしれません。要旨の理解に大きな支障は無いのではないかと思っていますが、その点に留意して読んでいただければと思います。よっぽどおかしい場合は、教えていただけるとありがたいです。
なお、原典は以下のリンクからお読みください(英語が読める方はこちらからの方が確実)。
Amazon Pays $450,000 A Year To This Self-Published Writer
<以下翻訳>
めずらしく3日間好天に恵まれた首都ロンドンで、ロンドンブックフェアが行われた。(4月のイギリスでは言うまでも無いのだが、全日程こうなのは本当に珍しく)暑い日差しが降り注ぎ、屋内で開催されているブックフェアに喧嘩を売っているようだった。しかし、巨大なフェア会場のメインフロアで、面白い本を探し歩くファンたちの動きは止まることが無く、彼らは出版側の人とおしゃべりをしたり、買う本を探したり、アドバイスを受けたりしていた。
中でも、「それをつくった」著者からのアドバイスが、最も出席者からの反響が大きかったように思える。唸り声をあげるかのごとく無尽蔵に質問を連発する聴衆に囲まれたスタンドの間でセミナーやワークショップが分散して開かれていた。彼らはみんな、フルタイムの仕事の憂鬱からの脱出ルートを構築しようとしていた。
そんな中、マーク・ドーソンは作家志望者たちの列をつくっていた。我々は彼に話を聞くため、座りながらその列に並んだ。ドーソン氏はジャーナリストたちが取材に来る際、アマゾンが好んで公表するセルフパブリッシングの成功ストーリーを持つ人物である。だが、彼の犯罪スリラーシリーズの出版や彼の理想とする願いは、単純に成功に至ったわけではない。
ドーソン氏は現在実業家となっている。セルフパブリッシングのプラットフォームがいくつもある中、最初彼は何も選択しなかった。彼が自作を宣伝するためにとった戦略は、市場の流れを変えるようなものでもなく、とりたてて賢いとは言えないものだった。しかし、彼の行ったそれの規模は、ほかとの違いを生み出すことにはなった。
現在までのところ、ジョン・ミルトンという殺し屋をめぐる彼のシリーズは30万以上買われている。去年は「6ケタ」のお金が懐に入ったし、今年は順調に行けばそれ以上になるかな、とドーソン氏は言う。そして、彼は、印刷する以外に、このシリーズのためになる、より大きく、よりベターな考えのプランを思いついたのである。
しかしながら、彼の最近の成功は、出版にさく時間を反映しているわけではない。彼は実際、2000年に「ダメになった芸術」と呼ばれるパン・ブックスから本を出版しているが、完全に失敗している。だが、それは作品が悪かったのではなく(皮肉なことだが、現在確認できる39のアマゾンレビューのうち、32は5つ星である)、少しの人しか読んでいないか、少しの人しか気づいていないというところに原因があった。ドーソン氏は、この本の失敗は、自分の仕事として考えた場合、本を出版社に至るまで宣伝する力が無い点にあると考え、いくつかの興味深いことを行い始めた。
彼は寸暇を惜しんで、訪れた本屋さんに営業をかけ、本をよく見える棚に移動してもらったりした。読みながら、あなたにもこれが彼の人間性を示しているということと、なぜセルフパブリッシングが彼のような人に完璧なプラットフォームなのかということが見えてきたのではないだろうか。
彼の最初の本での体験は、彼を数年間執筆から遠ざける結果となった。その必要とされた努力のすべてが、単純に現実の結果(経済的かそうでないか)に変換されたわけではなかった。彼が次の機会のため動き出すことを決めたとき、まだKDPの動きは彼に共感を呼び起こしていたわけではなかったのである。
ドーソン氏の最初のセルフパブリッシングした本、「The Black Mile」(1940年から1970年にかけてのロンドン・ウェストエンドを舞台にしたスリル小説)は、再び登録に失敗した。彼の本はダウンロード数が不足しており、アマゾンの不規則に拡大するオンラインストアの中で、他の千の本たちのように忘れられていってしまったのである。
これを受けて、彼は新たなことを始める。なんと、彼は「The Black Mile」を無料で提供し始めたのである。アマゾンは宣伝ツールとしてこれを推奨しており、この挑戦も多くの例の一つに過ぎなかった。しかし、ほとんどの作家にとって自分が苦労して紡いだ言葉たちが無料で提供されてしまうことが、受け入れがたいことは明らかである。アマゾンが使う「宣伝ツール」という言語は、共通のフレーズになりすぎて、専門に書く人は誰でも聞くようになっていくだろう。
この置き違いが起きたが、結果的に、書くことは簡単で(すべての創造性の共通課題)、無料の仕事は将来の仕事からお金をつくるために必要なプラットフォームを与えることになるという考えが広まることになった。これは編集たちの見立てによって、搾取構造からの簡単で迅速な収入になると喧伝されており、それはいつも時間の浪費であるとされる。
ドーソン氏もこれは認めるが、彼の名のもとで起きたもう1つの失敗は自暴自棄になってやったことではない。だから、彼はさいころを転がし、理想的な結果になることを願ったのである。幸いにも、彼は仕事を辞めることが出来た。
さいころは転がる
「日々が本当に輝いて見えるようになったことを覚えていますよ」。ドーソン氏は、「The Black Mile」がどのように素晴らしいものになっていったかについて話し始めた。
「僕はソールズベリー(イギリス)の郊外の田舎のほうに住んでいたんですが、あそこはたくさんの農場があって、農家さんが収穫をしていました。僕はサイクリングをしていて、休憩することにしたんですよね。それで、僕が自転車を止めて、木に寄りかかって座ると、電話が圏外になってしまったんですが、奇跡的に少しだけ電波を拾えたので、『自分の本がどうしているか見てみよう』と考えたんです」
「なんと50000冊も売れていました。『マジかよ!』と叫んでしまいましたよね。信じられないことでした」
驚くべきことに、ドーソン氏は「The Black Mile」を週末だけで50000冊以上売ったのである。
だが、彼はすぐに2つの問題を指摘した。1つ目の問題は、調査やセールスに時間を費やしても「The Black Mile」からは少しのお金も入ってこないことである。2つ目の問題は、彼が新しいファン獲得のために本を追跡調査しなかった点にある。
この出来事が、ドーソン氏を単なる著者から実業家へ変化させた。
「チャンスを無駄にはしましたね」。ドーソン氏は認める。「でも、これは僕のお尻を蹴ってくれましたし、僕にこれが合理的な方法であり、新しい本を書くべきなのだと証明してくれました。だから、僕はやったのです」
「僕は、少しだけ早く書けて、もう少し現代に生きるキャラたちと一緒に何かをしたかったんです。なので、僕はジョン・ミルトンと呼ばれる殺し屋についてのシリーズを書き始めました」
ドーソン氏はジョン・ミルトンシリーズを2013年の6月に始めて以来、現在までに300000冊を売り上げている。シリーズは全6冊で、1冊あたりおおよそ9万字である。ドーソン氏はフルタイムの仕事を抑え、2人の小さい子供を育てている時期にこのシリーズのほとんどを書いている。
彼はその高い販売率をどのように維持したのだろうか? 彼は1日4時間を、日に1000字書くためのロンドンへの通勤に費やした。彼は電車で座るとすぐにラップトップPCを開け、降りるまでの間、しっかりと執筆するのである。
このような執筆への専念は、私が話してきたすべての作家とよく似ている。本を書いているという人に会うことは珍しいわけではないが、彼らは半年間、毎日1000字の執筆を(おそらく)完璧にこなしている。なぜならドーソン氏や他の人たちは、本当に本を書いているのだから。この理由は、彼らのファンを絶えずひきつけておき、新しい題材で活性化させ続けていることだ。そして、これは彼の独特な成功を部分的ではあるが説明している。
ドーソン氏は、彼の成功が自分の珍しい出版スタンスにあるのだとも信じている。彼はビジネスのようなアプローチを行っている。その一つに、メディア全体のただ一つの歯車のようにものを書くということがある。彼はファン全員を(すべてのメッセージに答えながら)ひきつけ、熱心に自分を応援してくれる関係を彼らと構築することに焦点をあてている。彼は他のライターにアドバイスをしたり、指導をするセミナーを開いている。それらの活動のすべてを通して、彼は名前やEメールアドレスを収集し、15000人にも達する強力なメーリングリストをつくっている。彼のネットワーク拡散はこのような活動を通して行われている。ドーソン氏の行ったことは規模としてはどうしても小さくなるが、そのかわりセールスをほとんど保障したも同然の、熱心なファンコミュニティを確保できるのである。
一連の販売プロセスに組み入れられる新たな読者を獲得するため、ドーソン氏はブログで自分の本のレビューをしてもらうことを普通に行っている。しかし、彼が言うには、最も効果的なことはフェイスブックに広告を出すことだと言う。ドーソン氏は一日当たり370ドル(45000円弱)をフェイスブックの広告に注ぎ込んでおり、そのリターンは出資額の2倍だ。
熱心なファンを獲得することの連鎖反応で、あなたの本のランディングページのレビュー数がいつも増えることになる(ユーザーの推薦は、数あるマーケティングのうち、最も強力なものだ)。要するにドーソン氏にとって、フェイスブック広告を経由した新たな読者の獲得はとてもお金になるビジネスなのである。彼は、いまだ従来の出版社と一緒に何かをしたことはない。というのも、すべての範囲で彼がコントロールすることが出来るからである。
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なお、原典は以下のリンクからお読みください(英語が読める方はこちらからの方が確実)。
Amazon Pays $450,000 A Year To This Self-Published Writer
<以下翻訳>
めずらしく3日間好天に恵まれた首都ロンドンで、ロンドンブックフェアが行われた。(4月のイギリスでは言うまでも無いのだが、全日程こうなのは本当に珍しく)暑い日差しが降り注ぎ、屋内で開催されているブックフェアに喧嘩を売っているようだった。しかし、巨大なフェア会場のメインフロアで、面白い本を探し歩くファンたちの動きは止まることが無く、彼らは出版側の人とおしゃべりをしたり、買う本を探したり、アドバイスを受けたりしていた。
中でも、「それをつくった」著者からのアドバイスが、最も出席者からの反響が大きかったように思える。唸り声をあげるかのごとく無尽蔵に質問を連発する聴衆に囲まれたスタンドの間でセミナーやワークショップが分散して開かれていた。彼らはみんな、フルタイムの仕事の憂鬱からの脱出ルートを構築しようとしていた。
そんな中、マーク・ドーソンは作家志望者たちの列をつくっていた。我々は彼に話を聞くため、座りながらその列に並んだ。ドーソン氏はジャーナリストたちが取材に来る際、アマゾンが好んで公表するセルフパブリッシングの成功ストーリーを持つ人物である。だが、彼の犯罪スリラーシリーズの出版や彼の理想とする願いは、単純に成功に至ったわけではない。
ドーソン氏は現在実業家となっている。セルフパブリッシングのプラットフォームがいくつもある中、最初彼は何も選択しなかった。彼が自作を宣伝するためにとった戦略は、市場の流れを変えるようなものでもなく、とりたてて賢いとは言えないものだった。しかし、彼の行ったそれの規模は、ほかとの違いを生み出すことにはなった。
現在までのところ、ジョン・ミルトンという殺し屋をめぐる彼のシリーズは30万以上買われている。去年は「6ケタ」のお金が懐に入ったし、今年は順調に行けばそれ以上になるかな、とドーソン氏は言う。そして、彼は、印刷する以外に、このシリーズのためになる、より大きく、よりベターな考えのプランを思いついたのである。
しかしながら、彼の最近の成功は、出版にさく時間を反映しているわけではない。彼は実際、2000年に「ダメになった芸術」と呼ばれるパン・ブックスから本を出版しているが、完全に失敗している。だが、それは作品が悪かったのではなく(皮肉なことだが、現在確認できる39のアマゾンレビューのうち、32は5つ星である)、少しの人しか読んでいないか、少しの人しか気づいていないというところに原因があった。ドーソン氏は、この本の失敗は、自分の仕事として考えた場合、本を出版社に至るまで宣伝する力が無い点にあると考え、いくつかの興味深いことを行い始めた。
彼は寸暇を惜しんで、訪れた本屋さんに営業をかけ、本をよく見える棚に移動してもらったりした。読みながら、あなたにもこれが彼の人間性を示しているということと、なぜセルフパブリッシングが彼のような人に完璧なプラットフォームなのかということが見えてきたのではないだろうか。
彼の最初の本での体験は、彼を数年間執筆から遠ざける結果となった。その必要とされた努力のすべてが、単純に現実の結果(経済的かそうでないか)に変換されたわけではなかった。彼が次の機会のため動き出すことを決めたとき、まだKDPの動きは彼に共感を呼び起こしていたわけではなかったのである。
ドーソン氏の最初のセルフパブリッシングした本、「The Black Mile」(1940年から1970年にかけてのロンドン・ウェストエンドを舞台にしたスリル小説)は、再び登録に失敗した。彼の本はダウンロード数が不足しており、アマゾンの不規則に拡大するオンラインストアの中で、他の千の本たちのように忘れられていってしまったのである。
これを受けて、彼は新たなことを始める。なんと、彼は「The Black Mile」を無料で提供し始めたのである。アマゾンは宣伝ツールとしてこれを推奨しており、この挑戦も多くの例の一つに過ぎなかった。しかし、ほとんどの作家にとって自分が苦労して紡いだ言葉たちが無料で提供されてしまうことが、受け入れがたいことは明らかである。アマゾンが使う「宣伝ツール」という言語は、共通のフレーズになりすぎて、専門に書く人は誰でも聞くようになっていくだろう。
この置き違いが起きたが、結果的に、書くことは簡単で(すべての創造性の共通課題)、無料の仕事は将来の仕事からお金をつくるために必要なプラットフォームを与えることになるという考えが広まることになった。これは編集たちの見立てによって、搾取構造からの簡単で迅速な収入になると喧伝されており、それはいつも時間の浪費であるとされる。
ドーソン氏もこれは認めるが、彼の名のもとで起きたもう1つの失敗は自暴自棄になってやったことではない。だから、彼はさいころを転がし、理想的な結果になることを願ったのである。幸いにも、彼は仕事を辞めることが出来た。
さいころは転がる
「日々が本当に輝いて見えるようになったことを覚えていますよ」。ドーソン氏は、「The Black Mile」がどのように素晴らしいものになっていったかについて話し始めた。
「僕はソールズベリー(イギリス)の郊外の田舎のほうに住んでいたんですが、あそこはたくさんの農場があって、農家さんが収穫をしていました。僕はサイクリングをしていて、休憩することにしたんですよね。それで、僕が自転車を止めて、木に寄りかかって座ると、電話が圏外になってしまったんですが、奇跡的に少しだけ電波を拾えたので、『自分の本がどうしているか見てみよう』と考えたんです」
「なんと50000冊も売れていました。『マジかよ!』と叫んでしまいましたよね。信じられないことでした」
驚くべきことに、ドーソン氏は「The Black Mile」を週末だけで50000冊以上売ったのである。
だが、彼はすぐに2つの問題を指摘した。1つ目の問題は、調査やセールスに時間を費やしても「The Black Mile」からは少しのお金も入ってこないことである。2つ目の問題は、彼が新しいファン獲得のために本を追跡調査しなかった点にある。
この出来事が、ドーソン氏を単なる著者から実業家へ変化させた。
「チャンスを無駄にはしましたね」。ドーソン氏は認める。「でも、これは僕のお尻を蹴ってくれましたし、僕にこれが合理的な方法であり、新しい本を書くべきなのだと証明してくれました。だから、僕はやったのです」
「僕は、少しだけ早く書けて、もう少し現代に生きるキャラたちと一緒に何かをしたかったんです。なので、僕はジョン・ミルトンと呼ばれる殺し屋についてのシリーズを書き始めました」
ドーソン氏はジョン・ミルトンシリーズを2013年の6月に始めて以来、現在までに300000冊を売り上げている。シリーズは全6冊で、1冊あたりおおよそ9万字である。ドーソン氏はフルタイムの仕事を抑え、2人の小さい子供を育てている時期にこのシリーズのほとんどを書いている。
彼はその高い販売率をどのように維持したのだろうか? 彼は1日4時間を、日に1000字書くためのロンドンへの通勤に費やした。彼は電車で座るとすぐにラップトップPCを開け、降りるまでの間、しっかりと執筆するのである。
このような執筆への専念は、私が話してきたすべての作家とよく似ている。本を書いているという人に会うことは珍しいわけではないが、彼らは半年間、毎日1000字の執筆を(おそらく)完璧にこなしている。なぜならドーソン氏や他の人たちは、本当に本を書いているのだから。この理由は、彼らのファンを絶えずひきつけておき、新しい題材で活性化させ続けていることだ。そして、これは彼の独特な成功を部分的ではあるが説明している。
ドーソン氏は、彼の成功が自分の珍しい出版スタンスにあるのだとも信じている。彼はビジネスのようなアプローチを行っている。その一つに、メディア全体のただ一つの歯車のようにものを書くということがある。彼はファン全員を(すべてのメッセージに答えながら)ひきつけ、熱心に自分を応援してくれる関係を彼らと構築することに焦点をあてている。彼は他のライターにアドバイスをしたり、指導をするセミナーを開いている。それらの活動のすべてを通して、彼は名前やEメールアドレスを収集し、15000人にも達する強力なメーリングリストをつくっている。彼のネットワーク拡散はこのような活動を通して行われている。ドーソン氏の行ったことは規模としてはどうしても小さくなるが、そのかわりセールスをほとんど保障したも同然の、熱心なファンコミュニティを確保できるのである。
一連の販売プロセスに組み入れられる新たな読者を獲得するため、ドーソン氏はブログで自分の本のレビューをしてもらうことを普通に行っている。しかし、彼が言うには、最も効果的なことはフェイスブックに広告を出すことだと言う。ドーソン氏は一日当たり370ドル(45000円弱)をフェイスブックの広告に注ぎ込んでおり、そのリターンは出資額の2倍だ。
熱心なファンを獲得することの連鎖反応で、あなたの本のランディングページのレビュー数がいつも増えることになる(ユーザーの推薦は、数あるマーケティングのうち、最も強力なものだ)。要するにドーソン氏にとって、フェイスブック広告を経由した新たな読者の獲得はとてもお金になるビジネスなのである。彼は、いまだ従来の出版社と一緒に何かをしたことはない。というのも、すべての範囲で彼がコントロールすることが出来るからである。
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